そもそも完全に営業に向いていない
営業という職種が自分に全く向いていないと気付いたのは入社5か月くらい。
2014年の秋から冬にかけてです。
「自分で仕事作れ!」
という上司に、心が弱くなりながら
「すみません、担当の仕事を割り当ててください」
と勇気を出して伝え、社内失業状態を少し脱したころでした。
僕が受け持たせてもらえた会社は3社ほど。
1社を除いてはそもそも1、2年ほど前からまったく取引のない会社でした。
「もともと取引のない会社を担当するなら、会社の利益になるし、他の人の仕事を奪うことにはならない」
という理由でした。
初めの月は注文を少しくれました。うれしかったです。本当にうれしかったです。
商品が売れたのがうれしいというよりも、意味のある仕事がやっとできた、勤務時間に仕事をすることができた、ということで嬉しかったです。
ただ、その会社に売った商品の在庫もなくなり、すぐに何も注文を取れなくなりました。
理由は「ウチの在庫が高い」からでした。
―○○を××円くらいで販売できるのですが、買っていただけませんか?
「あ、それじゃ高いですね。うーん無理です。」
そうですか、じゃあ他に今必要なものはありますか?
「うーん、特にないんで、何か出てきたら連絡します。」
―はい、よろしくお願いします・・・
お客様は「何か出たら連絡します」とはおっしゃいますが、何か出て連絡が来たためしはありませんでした。
しかもたったの3社です。最大でも一日3回電話したら仕事は終わります。
―注文ありませんか?と聞いて断られるんですが、どうしたらいいですか?
と上司に聞いたら、
「『注文ありませんか』と聞いて断られるんだったら、どう聞いたら注文もらえるかを考えろよ!」
と言われました。一瞬「え、禅問答?」という気がしましたが、当然の指摘ですね。
なので、「△×や●○が××円であるんですが、どうですか?」と提案しながら聞いてみたりもしたのですが、「あ、そうですか。じゃあ、とりあえず送ってください。」と言われ、「やっぱり、使えませんでした。」と返送されることにもなりました。
僕の会社はそれなりに大きめの会社だったので、「とりあえず送ってください」というお客様としては「まあ有力な会社だし、かわいそうだから話くらいには付き合ってやろうか。返送料がかかるくらいだ」と心の中では思ってるようでした。
普通は商品を送って、全く売れずに送り返されれば、ショックになったり、「なにくそ!」と思って躍起になったりするのが一般的だと思うのですが、悲しいかな、その時の僕はむしろ、
「どうせ売れない商品を準備して送るだけでも勤務時間が埋まる仕事になる」
という気持ちも半分くらいありました。
このころ、そもそも「買ってください」と言うのがとても苦手なので自分に営業は向いていないことに気付きました。
http://24h.aratana.jp/?p=12683
↑営業のコツ(コツがわかってもそのままできりゃ苦労しないんだよ・・・)
営業の技術とはコミュニケーションだとか、相手の心をつかむことだとか、相手に好かれる技術だとか、いろいろ言われますが、要するにいざとなったら相手の懐に入って
「○○さん、買ってくださいよ。お願いしますよぉ。今月厳しいんすよ。頼みます!」
とか言えるくらいの人間関係を生み出す力だと思いますので、僕に営業職のセンスや能力がないということがこの時期にわかりました。
この時期に嫌だったのは、情けない話ですが日報を書くことです。
担当を得たといっても、正直なところ取引のない3社だけなので、しかも僕に営業能力がないので、注文をもらえず、注文がもらえないとまた社内失業状態になるだけなので、あまり日報に書くことがありません。
他の人が細かく、営業内容や数字を書いているのに、僕は3行くらいしか書くことがないこともありました。
上司からはコメントで、
「あなたの一日はこれだけでしたか?」
と書かれることもありました。きっと同僚からは、
「あのひと何やってるんだろう」
「暇そうでうらやましい」
「あれで今までどうやって仕事してきたのかな」
「私はこんなに忙しいのに」
「あの人、何がしたいんだろう」
いろいろ思われていたと思いますが、僕だって好きでこうなってるわけじゃありません。
この時期は仕事でミスを多くしていた時期でした。
上司「お前、友達とかにどんな仕事してるのと聞かれたらなんて答えてるの?」
僕 「営業の仕事をしていると答えてます。」
上司「ふうん、お前がしてること営業の仕事だと思ってほしくないんだけど」
売り上げも出せないし、ミスが多いし、仕事中なにもすることがなくなってしまう僕のしていることは確かに営業の仕事ではありませんでした。
ただ、この時期は良いことも少しありました。
まず、それまでガミガミ言ってきた直属の上司が「こいつにガミガミ言っても逆効果、こいつは俺が思ってるほど優秀なヤツじゃない」と悟ったことと、隣の課の課長が色々と仕事を振ってくれるようになったことです。
そして次に、一般客の接客をしたことです。
この時期に年末セールのイベントがありました。基本的に僕の会社はメーカーで小売りはしないのですが、年に数回イベントがあり、そこでは一般のお客さんに販売をしました。
一般客に接客をしたときのことです。いろいろと付け焼刃で、怒られながら身に着けた商品知識ですが、僕が熱心に説明をして勧めた商品を、気に入って買ってくれた2人のお客さんがいました。
その2人のお客様は会社の違う課の社員の知り合いだったようで、後から言われました。
「○○(僕)さんが接客したお客さん、私の知り合いなんですよ。買った商品、とっても気に入って、すごく満足してましたよ」
その時は涙が出るくらいとても嬉しかったです。
注)別にピストンを売ってたわけじゃありません