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緑の岬から from Cabo Verde

アフリカに暮らしている日本人のブログです。人生のこと、人間のこと、宇宙のこと、精神のこと、神様のこと、いろんなことを書いていこうとおもいます。

仕事をください・・・

上司は「営業職は自分で仕事を作り出すもの」と考えています。

しかも、僕を「それができる人材」だと考えています。

「営業職は自分で仕事を作り出すもの」と考えている上司は、こう言います。

「既存の顧客を持ってりゃ誰だって注文なんてもらえる。でも、それはただのコンビニの店員と一緒で、営業じゃない。下さいと言われるものをただ出すだけ。そんなの営業じゃない。だからお前は営業なんだから、自分で仕事を作り出せ。」

営業部にはほかにも営業職の平社員が3人いましたが、上司に言わせればその3人はただのコンビニの店員と同じであって、ほんとの意味の営業職ではないそうです。

 

普通の新入りの営業職のキャリアプロセスは以下だと思います。

 

1.雑用、手伝いを社内でしながら基本を覚える。

2.先輩と一緒に商談について行って、営業ノウハウを覚える。

3.既存の優良な顧客を何件か先輩から引き継いで、営業の仕事を覚えていく。

4.営業に慣れてきたら自分で新規の営業先や新しい商品企画をするなどして仕事を自分で作り出す。

 

僕は1のプロセスで止まっていました。しかも商品リストの作成とかの仕事で、エクセルの表計算とかミスが多く、怒られてばかりでした(まあこれは僕が悪いです・・・)。

 

まずは2や3のプロセスを僕はしたかったのですが、上司からはいきなり4を要求されるわけです。

まあ上司としては、それができる器だと思って僕を採用したのでしょう。なにしろ履歴書的には、元国家公務員で、海外の大使館で働いてて、英語もフランス語も堪能で経験豊富な30歳の中堅社員でしたから。

最初は僕も「新卒の社員じゃないんだから、僕は最初から4の仕事ができなきゃダメだ!」とできない自分を責めていましたが、やはりそれが無理なことに気付き、上司に思い切って勇気を出して、「新卒社員と同じように仕事をください」と言おうと決心しました。というより、社内失業の状態にもう耐えられなくなっていました。

入社からだいたい3、4か月したくらいの頃です。

 

「課長、すみません、まずは課長のいうような『コンビニの店員』と同じでもいいので、何か仕事をください。既存の顧客を僕に割り当ててください・・・」

 

勇気がいりました。

僕は、普段、無表情で、何考えているんだかわからないとか、感情の起伏がないように見られがちなのですが、このころは心臓が痛かったです。

 

「ふうん、で、どこの顧客が良いの?どこの顧客の売り上げを月にどれくらいあげられるの?それを言わなきゃお前に顧客なんか渡さねーよ」

 

痛む心臓を心で握りつぶしながら言った僕に、上司はそう吐き捨てました。

 

上司は軽い気持ちで言ったのでしょうが、僕はますます心臓が痛くなりました。

 

―そうですね、○○社とか、△●貿易とかですね。

「なんで?」

―やはり、大手だし、注文も多いので、営業の勉強になるんじゃないかと思うので・・・

「は?じゃあ××商事を担当したら勉強にならないの?そもそも勉強になるかどうかなんかで担当の会社持たせられないんだけど。」

 

僕は「はい、わかりました」しか言えませんでした。

上司の言う通り、売り上げ目標も持たないまま「担当顧客をください」と言った自分を責め、顧客別の売り上げ資料を見て、データを調べてから数日後にもう一度上司に提案しようと思いました。

 

売り上げのデータを見る作業なんて勤務時間中にやるべきではないということはわかります。しかし、翌日の朝も周囲に「手伝うことはありませんか?」と聞いても「特にない」と言われ、社内失業状態に・・・

仕方ないので、メモを取りながら会社の売り上げデータを見ていました。

みんな周りは忙しそうに仕事しているのに、自分だけはPCでカタカタ売り上げのデータを見ているという状況。顧客別の売り上げ数値をメモしながら罪悪感と居心地の悪さで頭と心がいっぱいでした。

しかも、この日に限って普段午前中は外回りに出ることの多い上司が真横の席にいます。見張られているようで心臓が苦しくなります。

「こんなこと就業時間中にやってたらなんか言われるんじゃないか・・・」、「データを見る作業なんて仕事とは言えない・・・でも他にやることがない・・・」、「上司に一言断りを入れたらいいんじゃないか・・・でも、逆に怒られそうだ・・・」

そんな言いようのない不安感が頭を交錯しながらパソコンをたたいていました。

 

すると、上司がこう言いました。

 

「あのさぁ、朝から見てるけどよ。言っとくけど、お前がやってること、仕事じゃねえからな・・・!」

 

案の定、怒られました。心臓が引き締めらるように痛かったのを今でも思い出します。

―すみません・・・あの、なにか、僕にできる仕事があれば、手伝うんですけど・・・

「お前、『手伝います』しか言えねーのかよ!?じゃあいーよ、ずっとそれやってろよ!」

―すみません・・・

 

僕は顔色変えず、そう言って、トイレに行って、顔を洗いました。

この息苦しさがいつまで続くんだろう。「仕事をつくる」ただそれだけのことに躓く、自分は本当にダメな人間だ。つらい、つらい、どうすればいいんだろう・・・

前の職場は仕事がもともと与えられていてラクだったな・・・でも普通の会社員ってこんなにつらいんだ。やっぱり僕は今までラクをしてきただけだったんだ・・・

そう思いましたが、まだ会社を辞めたいとは思いませんでした。

 

僕はこんなに落ち込んでいたのですが、感情をあまり表に出せない性格だったので、上司は僕がこんなに落ち込んでいることに気付いていなかったようです。

 

その数日後、収集したデータをもとに売り上げが比較的少ない顧客を3社のみ割り当てられることになりました。

とりあえず、これで社内失業状態から少し脱することができたので、ほっとしたのを覚えています。

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